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22. There is ~. の文


郷センセ郷センセ:  今日も生徒は凡太か。
前回は今までやってきたことのまとめとして「英語の九九」という特訓をやったな。千本ノックみたいで辛かったか?
書いてるこっちはもっと大変なんだから、頑張れや。

さて、今日はわりと簡単なのをサクッとやるよ。
「~がある、いる」という文だ。

「ポチは屋根の上にいる」っていうのを英語でどういう?
凡太 Pochi is on the roof.
です。

そだね~。
be動詞には「A = B」という関係の「イコール」の働きをする使い方の他に、「~がある」「~がいる」という存在を表す使い方もあるんだったね。
Pochi is an old dog.
(ポチは年寄りの犬だ)
の is は、Pochi = an old dog というイコールの働きをしているけど、
Pochi is on the roof.
の is は、「いる」という意味で、この場合は Pochi on the roof だ。
こんな風に、ある特定の人やものが「いる」「ある」というのは、
主語+be動詞+場所を表す語句など
という形でいえるんだけど、不特定の人や物がただ「いる」「ある」というときは、
There +be動詞+名詞+場所を表す語句など
……という文で表すんだな。

Look! There is a dog on the roof!
(見て! 屋根の上に犬がいるわよ!)
みたいな感じだね。
この場合はどんな犬か分からない、初めて話題に出てくる不特定な犬だから、
a dog
っていっている。
もちろん、
A dog is on the roof.
といってもいいんだけど、ただ漠然と「ある」「いる」といいたいときは、
There +be動詞 +名詞 ~.
というほうが自然なんだな。

で、そういわれた人が、
Ah...the dog is Pochi.
(ああ、あの犬はポチだ。)
……なんて答えるときは、もう「その犬」って特定されている犬だから the dog なわけ。

冠詞の a と the の使い分けも、だんだん覚えていこうな。

さて、話を元に戻して、there is ~ の文だったな。
ガレージにはクルマが5台入っている
を英語にしてみるとどうなる?
凡太 There is five cars in a garage.
……ですか?

ざんね~ん。2つ間違ってる。
まず、その文の主語はなんだ?
凡太 There …………じゃない??

そう。there は文の主語じゃない、んだわさ。
主語は five cars のほうだ。
Pochi is on the roof. という文の主語は Pochi だよな。
で、この on the roof を「そこに」っていう意味の副詞 there でいいかえると、
Pochi is there.
(ポチはそこにいる)
ってなるね。
There is ~. の文は、その is there がひっくりかえって、さらに there に「そこに」という意味がなくなってしまって、単に「~がある(いる)」という意味を表すようになったと考えれば分かりやすいかな。つまり、
There is ~. の文の there は名詞じゃないし、文の主語でもない。主語は There is ~. の 「~」のほう。つまり be動詞の後ろにある名詞が文の主語なんだ。
だから、これは「主語が複数」のbe動詞の文だね。つまり使う be動詞は is じゃなくて……?
凡太 are です。だから、
There are five cars. ですね。

そういうこと。
もう一つの間違いは、 in a garage だな。ガレージは分かっているガレージだから、in the garage じゃないとまずいね。
とあるガレージにクルマが5台入っていました……みたいな、物語の始まりみたいなことなら in a garage ってこともありえるけどね。
だから「ガレージにクルマが5台入っている」は……?
凡太 There are five cars in the garage.
です。

そだね~。
そういうことだね。
要点は、There is ~. の文では、be動詞の後に続く名詞が文の主語だということだ。

There +be動詞~ の文ではbe動詞の後に続く名詞が文の主語である

それと、There +be動詞~ の文ではthe car とか my car みたいに、特定のものを表すものは主語にならない。単数なら a ~、複数ならただの複数形(my や your などの語はつかない)、数えられない名詞なら冠詞なしで名詞だけだ。

There are five cars.……
There are my five cars.……×

これ、大事だよ。
凡太 はい。

で、次に否定文、疑問文の形だけど、動詞はあくまでもbe動詞なので、否定文はbe動詞の後に not をつければいい。
じゃあ、疑問文はどうするか。
be動詞の文はbe動詞を主語の前に置けば疑問文だったけど、
There are five cars ~.
では、すでにbe動詞は主語である five cars の前にきてしまっているよな。
だから、しょうがないから(?)be動詞をThere の前にもってくるんだ。
やってみようか。
「ガレージにクルマが5台あるの?」という疑問文はどうなる?
凡太 Are there five cars in the garage?

そだね~。簡単だな。
じゃあ、「ガレージにはクルマが何台あるの?」はどういう?
凡太 数をきいているから how many ~? ですよね。
Are there how many cars in the garage? ……ですか?

これまた期待通りの間違いをしてくれたね。
疑問詞の法則を思い出そうよ。

疑問詞は文頭にくる

これを忘れてはダメだ。be動詞の文でも一般動詞の文でも、疑問詞は必ず文の頭だっただろ?
だから……?
凡太 How many cars are there in the garage?

そだね~。語順大事だね~。
この
How many +名詞の複数形 are there ~?
っていう文はよく出るから、丸ごと覚えておこうな。
答え方は、
There are five.
みたいに数を具体的に答えればいい。

で、主語を疑問詞できくときはどうなるか?
「ガレージの中に何があるか?」
ときく場合は、
What is there in the garage?
でもいいけれど、これは、
What is in the garage?
でいい。
be動詞にはそもそも「ある、いる」という意味があるわけだから、
Five cars are in the garage.
の主語の部分を what に変えた文だという解釈だな。あとに場所を表す語句(この場合は in the garage)がつく文なら、ますます there はいらないな~、って感じになるね。あっても間違いではないけどね。

でも「昼飯に食うものって何があったっけ?」みたいな漠然ときくなら、
What is there for lunch?
と、there is ~ の疑問文にしたほうがいい。
There is ~. の未来の文というのはそんなにはないかもしれないけれど、will をつければいい。
There will be ~. という形になるね。

It's hailing hard. There will be damage to my car.
(ひょう)が激しく降っているなあ。こりゃあ、愛車に傷がつくぞ。)
……みたいな文はあるね。
will だけでなく、can とかの助動詞がつくこともあるよ。
There can be no serious damage.
(大した被害にはならんさ。=可能性を表す can )

で、次の日、
Fortunately there was little damage by the hail.
(幸いにも雹の被害はほとんどなかった。)
……なんてね。
be動詞を was / were にすれば過去の文になる。

さらには、be動詞以外の動詞がこの There ~. の文型で使われることもある。

There stands an old school on the hill.
(その丘の上には古い学校が建っている。)

Long long ago, there lived an old man and an old woman in the mountain.
They had no children.
(むか~しむかし、山におじいさんとおばあさんが住んでいました。二人には子供がいませんでした。)
There once lived an old couple.
……なんていいかたもできる。(once は「かつて」という意味の副詞。)

One night there came a big snake to their house.
(ある晩、一匹の大蛇が彼らの家にやってきた。)

……こういう文を見ると分かるように、There の後に来る動詞は自動詞だね。「建っている」「住んでいる」「来る」みたいな、それだけで意味を表せる動詞。そういう動詞をポンと話題に出すようなときに、この There ~ っていう言い方をよくする。
まあ、そこまで今は使いこなせなくてもいいよ。そういう文章、言い方に出会ったときに「あ、これがそうか」って気がつけば十分だ。

……そんなわけで、例によってついついいっぱい詰め込みすぎてしまうので、このへんにしておこう。
今回も練習英作文出しておくから、あとは例文にいっぱい触れてこの文型に慣れような。
凡太 はい。(……ふう~……)

今日のポイント


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