「人間史」を見つめ直す(24)

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幕末史の重要人物まとめ


イシモリ: ここまで、かなりいろんな人物が出てきて、名前を覚えるだけでも大変だったよね。
 ここで幕末史に登場する主な人物を整理しておこうか。

 ペリーが来航したのが1853年。まずは当時の天皇と将軍から。


 孝明天皇は世界情勢も分からず、攘夷一辺倒だったが、当時の将軍・家定、家茂は事実上政治には関わっていない。
 ということで、将軍に代わって幕政を動かしていた老中たちをまとめると、

 こうして見ていくと、阿部、堀田、井伊の3人とも、能力はあったし、政策も間違っていなかったのに、将軍後継者問題や水戸藩の暴走によって幕政がうまく機能しなくなっていったことが分かるね。
 言い換えれば、幕末においてもっとも先進的で現実的な政策を描いていたのは徳川斉昭を除く有力幕臣たちだったんだ。
 特に阿部正弘は、親藩、譜代、外様に関係なく、能力のある大名には幕政に参加してもらおうという先進的な考えを持っていた。
 当時、幕府に積極的に意見を述べていたのは「幕末の四賢侯」とも呼ばれる4人の大名。

 これら「四賢侯」に共通しているのは、攘夷ではなく、開国して諸外国の技術や学問を取り入れつつ、天皇家と武家が協力して合議制による政府を作るべきだという「公武合体」政策だ。
 将軍継嗣問題では4人全員が一橋慶喜を推したが、これほどの国難を乗りきるためには、誰もが認める俊英を将軍に据えなければまとまらない、という単純明快な理由からだ。
 こうした開国派というより「開明派」とでも呼ぶべき諸侯が、阿部正弘のようなバランス感覚を持った老中首座と協力して新政府を作っていけたらどれほどよかったことか。戊申クーデターのような馬鹿げた内戦は防げたはずだ。
 しかし、島津斉彬にしても山内容堂にしても、藩内過激派の突き上げやお家騒動に悩まされていたのが痛かった。
 松平春嶽は橋本左内という極めて有能な家臣を井伊大老の乱心によって殺されてしまった。

優秀な人材はほとんど明治前に消された

凡太: 橋本左内という人はそんなに優秀だったんですか?

イシ: 誰もが認める天才だったそうだよ。
 左内は、聡明な慶喜を将軍にして、幕藩体制を維持したまま、西洋の技術を導入して列強に対抗していくという構想を持っていた。外交ではロシアと手を結び、イギリスを筆頭とする欧米列強に対抗するという具体案も出していた。
 そのための新体制としては、
……という組閣案も持っていた。彼は新生日本にとってどうしても必要な人材だったんだけれど、井伊直弼のおかげで25歳の若さで斬首されてしまった。最後は悔し泣きしていたそうだよ。
 左内が構想していたような新政府体制ができていたら、その後の日本史は大きく変わっていただろうね。

 上田藩の赤松小三郎も忘れてはいけない。オランダ・イギリスの軍人から西洋兵学、語学を学び、『英国歩兵練法』を翻訳・出版した。春嶽、久光、幕府に、公武合体路線での開国、普通選挙、議会制による政府の成立や富国強兵政策を建白。薩摩藩に兵学指南役として招かれ、京都の薩摩藩邸で藩の垣根を越えて洋学を教えたんだが、西郷や大久保が武力倒幕に切り替えたために薩摩により暗殺されてしまった。まだ36歳だった。
 他にも不遇だった逸材はたくさんいる。特に幕臣は優秀な人材の宝庫だった。
左上から右下へ:岩瀬忠震、阿部正弘、伊達宗城、山内容堂、阿部正外
永井尚志、島津斉彬、松平春嶽(慶永)、川路聖謨、水野忠徳

 他にも有能な幕臣は多数いただろうけれど、クーデター前までに優秀な人材の多くは死んでしまった。
 阿部正外、永井尚志のように、クーデター後も生き延びた者もいたけれど、要職からは外れ、新政府の中心で活躍することはなかった。

凡太: 幕府の優秀な人材は明治新政府には入れなかったんですね。

イシ: そういうことだね。
 もっとはっきり言えば、明治新政府の主要メンバーの多くはテロリスト集団出身者だよ。
 それについてはこれから詳しく見ていくことにしよう。

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