32 副詞節と名詞節 練習問題



郷センセ  副詞節や名詞節は、接続詞とセットで理解する必要がある。文の構造そのものは難しくないけれど、時制の問題とかが絡むあたりに注意かな。

1. 春が来る前に彼女はパリへモダンアートの勉強をしに行ってしまうだろう。

2. 冬が来れば、この池の水は分厚い氷になるだろう。

3. ハナコがタマを部屋から出すまで、俺は15分も待たなければならなかった。

4. 好きなだけここにいていいよ。

5. このクルマは10年落ちですけれど、お客様がしっかり手入れされる限りまだまだ乗れますよ。

6. 彼は私に会えて嬉しいと言った。

7. 私は誰がその会社を経営しているのか知りたいと思った。

8. ハナコが俺にヘビは好きかどうかきいてきたので、正直に苦手だと答えておいた。



答え

1. 春が来る前に彼女はパリへモダンアートの勉強をしに行ってしまうだろう。
She will go to Paris to study modern art before spring comes.
to study modern art という副詞句(目的)と、
before spring comes という副詞節(時)がついている形。
時を表す副詞節では未来のことであっても現在形を使うので、before spring comes を before spring will come としてはいけない。
飛行機で行くなら fly to でもいい。なんかそのほうが詩的な感じがするかも。


2. 冬が来れば、この池の水は分厚い氷になるだろう。
The water of this pond will turn into (a) thick ice.
「~に変わる」は turn into ~ という。形がまったく変わってしまうものは change into ~ というが、原形をとどめて変化する場合は change より turn を使う。水と氷は全然違うではないかといわれそうだが、turn でいい。
解答例文の turn は自動詞(変化する)だが、 turn は他動詞もあるので、
Winter turns the water of the pond into ice.
ともいえる。
他にも、
When winter comes, the water of the pond will freeze and form (a) thick ice.
※ freeze は「凍る」、form は「形成する、形作る」
などともいえる。
freeze の逆は melt (溶ける)。
Ice melts into water.
(氷は溶けると水になる。)

池が小さくて、巨大な「1つの氷のかたまり」というニュアンスにしたければ、a thick ice と a をつけてもいい。普段は無冠詞にする物質名詞でも形容詞で修飾すると a をつける傾向がある。


3. ハナコがタマを部屋から出すまで、俺は15分も待たなければならなかった。
I had to wait as long as fifteen minutes before she let Tama go out of the room.
「~しなければならなかった」は have to~ を過去形にして had to~。 「15分待つ」は、wait for 15 minutes だが、この for はいわなくてもいい。
「15分も」の「も」は強調しているわけだから、as long as などというと感じが出る。
as … as ~ は「~と同じくらい…」という意味を表すいいかただが、この場合は強調している。
「タマを部屋から出す」は、take を使ってもいい。
~ before she took Tama out of the room.
これだと抱えて出したという感じになる。
let Tama go out だと、追い立てられてタマが自分で動いて出て行った感じがする。
どちらにしても、「時制の一致」に注意する。過去のことなので過去形で。
let は let - let - let と形を変えない不規則変化動詞。
before は till / until でもよい。
つづりに注意。till は l が2つ、until は l が1つ。


4. 好きなだけここにいていいよ。
You may stay here as long as you like.
3 で as long as を使ったので、as long as を副詞節を作る接続詞的連語として使う用法も紹介しておく。
この文では「好きなだけ」⇒「きみが望むだけの長さ」という感じ。
You can stay here as long as you want to.
などともいえる。「~してもいい(許可)」を表す助動詞のmay は can でもいい。
as long as は、時間の長さなどに関係なく、「~である限りは」(=if only)という意味でも使える。

Any book will do as long as it's an interesting novel.
(面白い小説ならなんでもいい)
※ will do は「OKだ、通用する、問題なし」というような肯定の意味を表す慣用句的表現。


5. このクルマは10年落ちですけれど、お客様がしっかり手入れされる限りまだまだ乗れますよ。
This car is ten years old but will give you long use as long as you take good care of it.
「お客様」はもちろん customer などとする必要はない。というか、してはダメ。客を目の前にして店員が話しているわけだから、主語は you でいい。
「10年落ち」は 10 years since produced などともいえるが、人と同じように ten years old で通じるはず。
形容詞的に使うなら ten-year old car という言い方もある。
このように形容詞として使う場合、ハイフンを入れて複数形にはしない、というヘンテコなルールがあるのでやっかいだけど。
This ten-year old car will give you long use ~ などと、クルマを主語にすると英語的な発想でカッコいいかな。
give you long use は SCOO の文型になっている。この use はもちろん名詞(使用)。発音は「ユーズ」ではなく「ユース」。「ロングユース」という言葉は日本語化しているね。
後半は今回も as long as (~である限り)を使ってみた。
「手入れする」は「面倒をみる」で take care of ~ という連語を覚えよう。この care (面倒、注意、世話)は名詞だから、good などの形容詞を入れれば「しっかり面倒みる」などといえる。
……こうした一種の「わざ」を使わず、ひたすら習ってきたことを使っていおうとすれば、
This car was made ten years ago, but you will be able to drive it for long time if you loves it very much.
  ↑
ダサい英文だけど、文法的には間違ってはいないし、十分に通じる。こんな風に、愚直に、しかし間違ってはいない英文を書く姿勢も大切。


6. 彼は私に会えて嬉しいと言った。
He said, "I'm pleased to see you."
= He said that he was pleased to meet me.
上のように" "(コーテーションマーク)でくくって直接話した言葉を書くのが「直接話法」という。これは実際に話した言葉をそのまま記すわけだから、時制の一致はいらない。
それに対して、下の文は that という接続詞を使って、「~ということを言った」と、話した内容を名詞節としてまとめている。こういうのを「間接話法」という。
試験では直接話法←→間接話法の書き換えが定番としてよく出題される。間接話法の that の節の中は主語と時制の一致に注意する。


7. 私は誰がその会社を経営しているのか知りたいと思った。
I wanted to know who was running the company.
間接疑問文。時制の一致で was running と、過去進行形にしている。

ちなみに、「誰がその会社を創業したのか知りたいと思った」という文なら、
I wanted to know who had founded the company.
という。
完了形は「完了」「継続」「経験」などを表すというのはやったが、実はもう1つ「さらに一つ前の時点を表す」という働きもする
この文では「知りたい」と思ったのは過去のある時点だが、誰かがその会社を創業したのは、その「過去のある時点よりさらに前の時点」だ。
こういう場合に、found(創業する)をただの過去形 founded にすると、「私」が「知りたいと思った」時点と誰かが会社を創業した時点は同じ過去の時間帯になってしまう。創業したのはそれよりも前のことなので、found を完了形にして、過去よりもさらに前だと示したいわけだが、現在完了ではない。「have+過去分詞」の have を過去形にして 「had+過去分詞」とする。これを「過去完了時制」という。

過去完了は日本の学習指導要領では高校で習うことになっているらしい。
他にも完了進行形や未来進行形などは中学ではやらないことになっているようだが、すでに「英語の九九」で時制や疑問文・否定文の作り方のルールを身につけたきみたちには何も難しいことはないはずだ。
「英語の九九」をしっかりやっていれば、高校に行っても英語は楽勝なんだよ。これはほんと。


8. ハナコが俺にヘビは好きかどうかきいてきたので、正直に苦手だと答えておいた。
Hanako asked me if I liked snakes, so I answered in the negative honestly.
「~かどうか」は if という接続詞を使えばいえる。
この文では「私がヘビが好きかどうか」は今も昔も変わらないことだと考えれば
if I like snakes
としてもよさそうだが、試験などでは「時制の一致」を問われているのかな、と忖度(そんたく)して、
if I liked snakes
と、過去形にしておくのが無難。(ついに「忖度」まで出てきちゃったよ。受験英語って、やだね~)
まあ、そのうちにヘビが苦手ではなくなる可能性もなきにしもあらずだしね。「不変の事実」ともいえないから。

「正直に」は、副詞を使えば honestly とか frankly とかでいい。
「苦手だと答えた」は文字通りやれば、
I answered that I didn't (like snakes).
だが、「ノーと答える」という意味で、
answer in the negative
なんて言い方もある。
「イエスと答える」は、
answer in the affirmative
という。
……なんてもったいぶった言い方はやめて、ザックリと、
I answered "No."
としておいてもいい。


今回はついついいろんなことを詰め込んでしまったけれど、ここから先はもう、自分で調べていけると思うから、俺としては、考え方の要点、要領だけを並べているってことを分かってね。
この段階に来ると、後はいわゆる「受験英語」みたいな勉強が続くことになる。つまらない、ややこしい、なんか辛い……と思うことが増えるかもしれないけれど、試験問題の内容は、受ける側は選べないし、文句をいっても仕方がない。
読み書き英語はややこしい文ばかりなんだから、パズルを解くように楽しめばいい。
英語は手段であり、道具だってことを忘れずに、腐らずやっていこうね。


← 解説に戻る   目次へ   次へ⇒
Facebook   Twitter   LINE