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26. 完了形

He read the book twice in front of his teacher.
(彼は教師の前でその本を2度読んだ。)=過去の行為


He has read the book twice for the last two years.
(彼はここ2年間でその本を2度読んだ。)=経験


郷センセ郷センセ:  今日も生徒は凡太か。
そろそろ中学で習う英語のキモは大体伝授した感じだけど、時制の仕上げとして、今日は「完了時制」ってのをやるよ。
時制は動詞の形で判断できるんだったね。
ここで復習しておこうか。
まず、現在、過去、未来という3つの基本的な時制がある。

He goes to school by bus.
(彼は学校へバスで通っている)⇒現在

He went to school by bus yesterday.
(彼は昨日はバスで学校へ行った)⇒過去

He will go to school by bus tomorrow.
(彼は明日はバスで学校に行くだろう)⇒未来

今なら分かると思うけど、実はこの3つの時制の中でいちばん難しいのは「現在時制」なんだな。
まず、現在時制では、動詞は「三単現」に注意するんだったね。疑問文、否定文を作る助動詞 do にも三単現の does という形があった。
で、現在時制というのは、「今起きていること」をいうよりも、日常的に行われていること(習慣や慣習)や、「水素は酸素より軽い」「ハナコはハナコの父親より背が高い」といった事実、確定している現実をいうことが多かった。その点をまず理解しないといけない。
それに比べると過去の文は単純だった。単に過去のことをいっているだけ。過去の文の作り方も、助動詞か動詞を過去形にするだけなので簡単。
未来の文は、基本的には will という助動詞を使えばいいから、これもまた簡単。will の他に、be going to~ という言い方もあったけど、これは疑問文や否定文を作るときはbe動詞の文として扱う……そんなことをやってきたわけだ。

次に、その3つの基本時制の中で、物事が進行中である、という意味を加える進行形ってのをやったね。
現在進行形、過去進行形、未来進行形
これは be動詞+動詞のing形 という形の文だった。be動詞が含まれているから、疑問文・否定文はbe動詞の文のルールに従う。
現在進行形、過去進行形はbe動詞をそれぞれ現在形(三単現に注意)と過去形にすればいいだけ。未来進行形は will をつければいいから、will be ~ing って形になって、これは助動詞の文のルールに従う。

She is washing dishes.
(彼女は皿を洗っているところだ)⇒今洗っている

She was washing dishes.
(彼女は皿を洗っていた)⇒そのとき(過去のある時点で)洗っていた

She will be washing dishes.
(彼女は皿を洗っているところだろう)⇒(未来のある時点で)洗っている最中であろう

で、今日は「完了形」ってのをやるんだけど、これも進行形と同じように現在、過去、未来の3つの時制の中で使える。
形は、
助動詞 have+過去分詞
だ。
この have は動詞の have じゃないよ。助動詞
do に動詞と助動詞があるように、have にも動詞と助動詞があるんだ。
助動詞だから、疑問文・否定文は助動詞の文のルールに従う。
つまり、have を主語の前に出せば疑問文、have の後に not をつければ否定文だ。
ただし、助動詞は動詞の原形と一緒に使うんだけど、この完了形を作る助動詞 have だけは過去分詞と一緒に使う、という点が違う。動詞の原形ではなく過去分詞と一緒に使うという助動詞は have だけだ。
それと、助動詞 do と同じように、助動詞の have にも三単現has がある。
過去完了は助動詞 have を過去形にして had+過去分詞 でいい。
未来完了は助動詞 have の前に will をつけて will have+過去分詞 とする。
これもちょっと例外的だね。助動詞の後ろにさらに助動詞がついているわけだから。
で、will have+過去分詞 という未来完了では、疑問文・否定文の作り方はwill のほうに従う。
完了形のやっかいなところは、表す意味が進行形(~しているところ)みたいに単純じゃないってことだな。
大きく分けて、
  1. 経験(~したことがある)
  2. 継続(~という状態・動作・行為が続いている)
  3. 完了・結果(~したところだ、~し終わった、だから結果として~だ)
という、3つの意味のどれかを表すのよ。
どれも、ある時点(現在完了なら「今」)と、それより前の時間とその時点とのつながり、関係を表しているともいえるかな。
現在完了なら「ある時点」は「今」なので、
「経験」⇒「今」につながる過去の時間軸のなかで、その行為や状態があったのかなかったのか
「継続」⇒「今」に至るまで過去のある時点からずっとその行為や状態が続いていた
「完了・結果」⇒「今」まで続いていた行為や状態が終了した(その結果……だ)

このうちのどの意味を表しているかは、その文章の内容や前後の話の流れから判断するしかない。
例文を挙げると、

I have read the book twice.
(その本を2回読んだことがある)⇒経験

I have read the book for two years.
(その本を2年間読み続けている)⇒継続

I have just read the book.
(その本をちょうど読み終えたところだ)⇒完了

……って感じかな。
have read が、
「読んだことがある(経験)」
「読み続けている(継続)」
「読み終えたところだ(完了)」
のどの意味を表しているのかは、twice(2回)、for two years(2年間)、just(ちょうど)という副詞や副詞句の意味から判断するわけだ。

だから、
Have you read the book?
という文が、「読んだことがあるのか」なのか「読み終わったか」なのかは、これだけではよく分からないわけだね。
その前に、
"What is this book? It seems interesting."
(この本なんだい? 面白そうじゃないか)
"Ah...I bought it last week."
(ああ、それか。先週買ったんだ)
……みたいな会話があって、
"Have you read the book?"
なら、「読み終わったのかい?」という「完了」の意味だろうし、

"The title of the book is 'The Tunnel'.
(その本のタイトルは『トンネル』っていうんだ)
" Oh, I know it."
(あ、それ知ってるわ)
……という会話の後に、
"Have you read the book?"
なら、「読んだことあるの?」と、「経験」をきいていると分かる。

だから、完了形の文は、一緒に使う副詞などの語句に注意を払う必要があるんだ。

just(ちょうど)とかalready(もう)、yet(否定文の中で使って「まだ~ない」)という副詞があれば「完了」の意味だろうし、for three years(3年間)とか since(~からずっと)みたいな期間や起点を表す副詞句があれば「継続」の意味だろうし、ever(かつて)みたいな副詞があれば「経験」の意味だな、って判断できるわけ。
凡太 なんか大変そう……。

まあ、これはもう、あれこれ理屈をこねているよりも、いっぱい文例に触れて、慣れることだろうね。
表す意味によって特徴的な語句というのがあるから、それらと一緒に覚えることが大事だ。
例えば、go は、「完了」の意味では普通に have gone だけど、「経験」の意味では gone ではなく、 been というbe動詞の過去分詞を使うんだ。

He has just gone home.
(ちょうど今家に帰ってしまったところだ)⇒完了

I have been to Kyoto many times.
(京都には何度も行ったことがある)⇒経験

あと、「経験」を表す完了の文では ever(かつて)という副詞がよく使われるし、否定文では not よりも never という打ち消しの語がよく使われて「一度も~したことがない」という意味になる。

Have you ever been to Kyoto?
(京都に行ったことがあるか?)

No, I have never been there.
(いや、一度もない)

since(~からずっと)という語は、継続の完了形の文でよく使う。

She has been washing dishes since an hour ago.
(1時間前からずっと皿を洗い続けている=現在完了進行形)

このsince an hour ago は for an hour と同じ意味になる。
She has been washing dishes for an hour.
(1時間もの間ずっと皿を洗い続けている)

since は接続詞としても使えて、後ろに文が続くこともあるよ。

She has been washing dishes since I came home.
(彼女は私が帰宅したときからずっと皿を洗い続けている。)

……とまあ、ざっとだけれど、これが完了形の文だな。
あとは練習問題をたくさんやって、文例を覚えたほうが早いな。理屈より経験ってことで。

じゃあ、早速、練習のページ進もうか。
補足的説明は、練習問題の解説でやっていくよ。
凡太 ……はい……




今日のポイント


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