25 SVOOの文


He gave Hanako a dog.
S  V  O   O
(彼はハナコに犬を与えた。)


She named the dog Pochi.
S   V    O   C
(彼女はその犬をポチと名づけた


郷センセ  じゃあ、これで英文の基本5文型は一通りやったので、今日の英作文練習は、今までやってきたことの総復習的にやってみるか。漫然と単語を並べようとしないで、何を主語にして、どんな動詞を使って、どの文型でいえばいいかを考えながらやることが大事だ。

1. ある日、ハナコの父親はクルマで家に帰るところだった。


2. その途中、道端に一匹の痩せた犬が横たわっているのを見つけた。(道端に:beside the road。痩せた:thin。横たわる:lie)


3. その犬は腹ぺこで弱っているようだった。


4. 彼はその犬を家に連れて行き、食べ物と水を与えた。


5. 犬は数日で元気になったが、かなりの老犬のようだった。


6. ハナコはその犬をすっかり気に入り、ポチという名前をつけた。


7. ハナコの父親はポチのためにカッコいい犬小屋を作ってあげた。


8. ハナコはその犬小屋をピンク色に塗った。


で、以下は、その数日後、ハナコの家に遊びに来た友達のゴンタとハナコのやりとりだと思って英語にしてみよう。


9. 屋根の上に犬がいる!


10. あれはポチよ。1週間前に道端で横たわっているのを見つけられて、うちに連れてこられたの。(Pochi を主語にして過去の受動態で)


11. 誰がポチを見つけたの?


12. パパよ。ほら、庭にある新しい犬小屋を見て。


13. ポチのために買ってきたの?(「犬小屋」を it でうけて、受動態で)


14. ううん。あれはパパがポチのために作ってくれたの。


15. きみのパパが犬小屋をピンク色に塗ったの?


16. ううん。私が塗ったのよ。


17. なんでピンクなの?


18. ピンクが好きだから。カッコいいでしょ?


19. そうかなあ……。でも、なんでポチは屋根の上にいるの?


20. ポチはあの犬小屋が好きじゃないみたい。


21. あちゃ~。

答え

1. ある日、ハナコの父親はクルマで家に帰るところだった。
One day, Hanako's father was driving his car home.
過去進行形にしている。「家に帰る」は go home だから、
He was going home in his car. でもよさそうだが、drive という動詞を使えば、自分で運転している感じが出せて、より自然な言い方かもしれない。


2. その途中、道端に一匹の痩せた犬が横たわっているのを見つけた。(道端に:beside the road。痩せた:thin。横たわる:lie)
On his way home, he saw a thin dog lying beside the road.
on one's way ~ はすでに説明した通り。ここでは文頭に出してみた。次の
He saw a thin dog lying~.
は SVOC の文。lie (横たわる)をing形にして補語にしている。「犬が lie しているのを見た」という構造。
see+目的語+~ing で「…が~しているのを見る」の意味。
lie のing形は ie を y に変えてingをつける。これは理屈抜きに覚えてしまおう。
thin は「薄い」という意味も表す。その場合の反意語は thick(厚い)だけれど、人や動物が「痩せている」というときも使える形容詞。


3. その犬は腹ぺこで弱っているようだった。
The dog looked hungry and weak.
look+形容詞 で「~に見える」。これは SVC の文。seem でもいい。
The dog seemed hungry and weak.


4. 彼はその犬を家に連れて行き、食べ物と水を与えた。
He brought the dog home and gave it the food and the water.
「連れていく」は take なので、ここは
He took the dog home.
でもよさそうだが、家に「持ってくる」という感じでいえば、ここはむしろ bring のほうがいいかもしれない。
bring - brought - brought
take - took - taken
どちらも不規則変化動詞。
よく使う動詞ほど不規則変化するものが多いので、とにかく覚えるしかない。
He brought the dog home. は一見すると SVOO に見えるかもしれないが、home は「家へ」という副詞だから、これは SVO の文。
その後ろの gave it the food が SVOO の文。ギブミーチョコレートと同じ構文。
give も give -gave - given と不規則変化する。


5. 犬は数日で元気になったが、かなりの老犬のようだった。
After a few days, the dog got well but it seemed very old.
「元気になる」は get well が簡単でいいだろう。これは SVC の文。
過去における「(それから)~後」は after を使う。a few days で「数日」だから、after a few days で「数日後に」。
これに対して、「(今から)~後」は in を使う。
He will be better in a few days.
(数日すればよくなるだろう)
「老犬のようだ」は単純に「歳取っているように見える」ということで seem を使えばいい。この場合、look はちょっとニュアンスが違う。「元気そうだ」は look fine や look well でいいが、old はその場限りのことではなく、事実をいっているので、seem を使うほうがいい。seemed to be very old ともいう。


6. ハナコはその犬をすっかり気に入り、ポチという名前をつけた。
Hanako liked the dog so much and named it Pochi.
and の前の文は SVO、後の文は SVOC であることに注意。named の前には主語の she が省略されている。
「すっかり気に入る」を、ハナコはその犬に「魅了された」と受動態にして、
Hanako was charmed by the dog ~.
などとしても英語っぽくなる。むむう、おぬし、できるな……という解答例だな。


7. ハナコの父親はポチのためにカッコいい犬小屋を作ってあげた。
Hanako's father made a smart doghouse for Pochi.
すでに説明したように、
He made Pochi a smart doghouse.
と SVOO にするよりも、このように made の直接の目的語(~を)である犬小屋を前に持ってきて、後に for Pochi としたほうがしっくりくる。
ちなみに文法用語としては、「…(人)に~(もの)を○○する」の「~(もの)」のほうを「直接目的語」、「…(人)」のほうを「間接目的語」といったりする。


8. ハナコはその犬小屋をピンク色に塗った。
Hanako painted it pink.
これもすでにやった SVOC の文。



9. 屋根の上に犬がいる!
There is a dog on the roof!
There is ~. の文でやった通り。


10. あれはポチよ。1週間前に道端で横たわっているのを見つけられて、うちに連れてこられたの。(Pochi を主語にして過去の受動態で)
That is Pochi.   He(Pochi) was found lying beside the road and was brought to us a week ago.
He found a dog lying beside the road.
 は「彼は一匹の犬が道の脇に倒れているのを見つけた」という SVOC の文。これを、「犬」を主語にして受動態にした文がこれ。
その後に and でもう1つの文が続いているが、主語は繰り返しを避けて省略できても、受動態のbe動詞は省略できないので was はちゃんと繰り返す。
運ばれてきた先は話をしているハナコの家だから to our house でもいいが、「私たちの元へ」というニュアンスで to us としておけばいい。
「(今から)~前」と、過去を表すときは ago を使う。


11. 誰がポチを見つけたの?
Who found Pochi?
疑問詞が主語の文であることに注意。


12. パパよ。ほら、庭にある新しい犬小屋を見て。
My dad did.  Well, look at the new doghouse in the garden.
問いに対する答えだから、found it と繰り返す必要はなく、do を使う。この do は助動詞ではなく動詞。
well を頭に置くと、「そうねえ……」「ところで……」といった感じで、一呼吸置く感じになる。
「あれを見て」というようなときの「見る」は see ではなく、look at を使う。


13. ポチのために買ってきたの?(「犬小屋」を it でうけて、受動態で)
Was it bought for Pochi?
それ(犬小屋)はポチのために買われた、という受動態の文は、
It was bought for Pochi.
だから、このbe動詞 was を主語 it の前に出せば疑問文になる。
SVOO の文を受動態にするときは、主語になるのは直接目的語だけ。残った間接目的語に前置詞をつけないと意味が分からなくなる。

He bought me this book.
(彼は私にこの本を買ってくれた。)
「買われた」ものは me ではなく the book だから、
I was bought this book.
とは絶対にならないし、
This book was bought me.
とも普通はいわない。
This book was bought for me.
とする。


14. ううん。あれはパパがポチのために作ってくれたの。
No (it wasn't). Dad made it for Pochi.
これも、
Dad made Pochi it.
などとはしないこと。
dad(= daddy を短くした言い方)は、my を取っ払って、呼び名のように単独で扱ってもかまわない。ラフな言い方ではあるけれどね。


15. きみのパパが犬小屋をピンク色に塗ったの?
Did your father paint it pink?
SVOC の疑問文。
「誰がピンクに塗ったの?」なら、
Who painted it pink?
疑問詞が主語だから、平叙文の形になる。


16. ううん。私が塗ったのよ。
No, he didn't. I did.
do を使って答えれば、同じ言葉を繰り返さなくて済む。


17. なんでピンクなの?
Why is it pink?
be動詞の疑問文。why は疑問詞だから文頭に。


18. ピンクが好きだから。カッコいいでしょ?
Because I like pink. Doesn't it look cool?
「~だから」と理由を表す接続詞 because を使う。会話なら別に使わなくても通じる。
平叙文なら、
It looks cool.
(それは cool に見える⇒かっこよく見える)
だから、それを否定疑問文にした形。
be動詞で、
Isn't it cool?
としてももちろんいい。
この cool はもちろん「冷たい」ではなく「かっこいい」「いけてる」の意味。
「カッコいい」はいろいろな形容詞でいえる。
great、good looking、neat、awesome、cute……。
それぞれ違うニュアンスだけど、その違いが分かってくるには時間がかかるだろうな。
cool は今風な言い方で、よく使う。


19. そうかなあ……。でも、なんでポチは屋根の上にいるの?
Well...I don't think so. By the way, why is Pochi on the roof?
感情をうまく英語で表すのは難しいが、いろいろな表現に触れて、そのニュアンスを摑んでいこう。
I don't think so. は文字通り「私はそうは思わない」で、ちょっときつい感じの言い方。
by the way は「ところで……」と、話題を変えるときによく使う表現。


20. ポチはあの犬小屋が好きじゃないみたい。
Maybe Pochi doesn't like his house.
「~みたい」を seem を使っていおうなどと考えると難しくなるので、ここはザックリと maybe(多分)を頭につけるだけにしてみた。


21. あちゃ~。
Oh dear!
驚きを表すとき、 Oh, my God!(なんてこと!)などというけれど、この場面ではちょっと強すぎる感じなので、Oh dear! くらいにしておこう。使える範囲が広い便利な表現だし、下品でもない。


……とまあ、5文型ということを意識して「ハナコとポチ物語」を綴ってみた。
文を作るときは、主語、動詞は何かを摑んだ上で、できるだけ簡単な文でいえないかと考える。簡単な文でいうってのは英語が分かっているってことだから、カッコいいことなんだ。で、余裕があれば、「もっとカッコいい英語にならないか」ってチャレンジしてみる。……とにかく、「楽しく」やってほしいな。


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