郷センセ:
今日も生徒は凡太か。
前回は SVOC ってやつをやったね。基本5文型で残っているのは SVOO だな。今日はその SVOO ってのをやってみようか。
SVOO の文は、見れば分かるように動詞(V)の後に目的語(O)が2つ続いてついている。
この目的語2つを順番に A と B ってすると、「B を A に~する」みたいな意味の文だ。A には「人」を表す短い語、つまり me、you、him、her、us、them のような人称代名詞の目的格がくることが多いね。
じゃあ、ここでハナコとポチの出合いについて書かれた英文を例にとって説明しよう。
Hanako's father found a dog on his way home.
(ハナコの親父さんは帰宅途中に一匹の犬を見つけた。)
found は find(見つける)という動詞の過去形だね。
find - found - found と変化するんだったね。
on one's way というのは「~の途中で」という意味の連語。one's っていうのは my とか your とかのことを一般的に表しているんだよ。主語に合わせて my とか his とかに代えて使うのよ。このまま使っちゃダメよ。
on my way to school なら「(私が)学校に行く途中で」(「I」が主語の場合)だし、
on her way from school なら「(彼女が)下校途中に」ってことだ。
ここでは home (家へ)という副詞がついているから「帰宅途中に」だ。
で、
Hanako's father found a dog on his way home.
↑この文は「5文型」でいうとどの文型になる?

a dog が found の目的語で、on his way home は取っ払っても文の基本構造には関係ない副詞句だから、
SVO です。
そだね~。すごいね~。分かってるね~。やっぱ俺の教え方がいいんだな。
で、ついでだから、こないだやった SVOC にしちゃおうか。
He found the dog hungry and weak.
(その犬は腹を空かして弱っていた。)
普通にいうなら、
The dog was hungry and weak.
という SVC の文でいえるけど、find (~であると分かる)という動詞を使ってこんな風に SVOCの文にすれば、主語は「その犬」ではなく、見つけたハナコの父親のほうになるから、「(彼がその犬をよく見たら)腹ぺこで弱っている
ということが分かった」という意味が出せるんだね。
ちなみに、
The dog looked hungry and weak.
とすれば、例の look (
~のように見える)という意味の文で、これは
SVC だね。
じゃあ、その続き。
He brought the dog to his house and gave it the food.
(彼はその犬を家に連れてきて、食べ物を与えた。)
brought は bring(~を持ってくる、連れてくる、運んでくる)という動詞の過去形・過去分詞。この場合は、
He took ~.
と、take(連れていく)という動詞を使ってもいい。
視点が、見つけた場所から家へ、だと take で、家に連れてきた、と、視点を家の側にすれば bring という感じかな。
その後の、
gave it the food
がSVOOだね。
it(=the dog=目的語)に the food(食べ物=目的語)を gave(与えた=動詞 give の過去形)
……こんな風に、SVOO の文は、最初のOには「…に」と、動作の対象になる人など(この場合は犬だけど)、二番目のOには(~を)という動詞の直接の目的語がくる文がほとんどだ。
よく使う動詞を挙げると、
- give A B (AにBを「与える」)
- buy A B (AにBを「買ってあげる」)
- tell A B (AにBを「教える、話す」)
- show A B (AにBを「見せる、(道などを)教える」)
- teach A B (AにBを「(ある程度内容のあることを)教える」)
- ask A B (AにBを「尋ねる、訊く」)
- bring A B (AにBを「持って行く、運ぶ」)
- pass A B (AにBを「渡す」)
- send A B (AにBを「送る」)
- lend A B (AにBを「貸す」)
- carry A B (AにBを「運ぶ」)
- sell A B (AにBを「売る」)
- throw A B (AにBを「投げてよこす」)
- make A B (AにBを「作ってあげる」)
- read A B (AにBを「読んであげる」)
数が限られているから、これらの動詞をまずは覚えてしまおう。
He
showed her the way to the station.
(彼は彼女に駅までの道を
教えた)
He
told her the truth.
(彼女に本当のことを
教えた)
He
passed her the solt.
(彼女に塩を
渡した)
He
sent her a letter.
(彼女に手紙を一通
送った)
He
bought her a bike.
(彼女に自転車を
買ってあげた)
……と、全部「…に~を○○する」という意味になる。
じゃあ、話の続きな。
「ハナコはその犬にポチという名前をつけた」
……これ、やったよな。どういうんだっけ?

Hanako named the dog Pochi.
です。
そだね~。SVOC だね~。そんでもって、その次は、
「ハナコの父親はポチにかっこいい犬小屋を作ってあげた」
とやってみるか。これを英語にすると? 使う動詞は make でいいよ。「かっこいい」はいろいろいえるけど、smart でどうかな。「犬小屋」は文字通り doghouse でいい。

Hanako's father made Pochi a smart doghouse.
ですか?
そだね~。とりあえずはそういうことだね。今度は SVOO だね。
で、ここで一つ重要なことを教えるよ。
「A を B に~する」の、目的語の順番を入れ替えるとどうなる?
今の「ハナコの父親」を he にしていうと、
He made Pochi a smart doghouse.
だけど、この Pochi と a smart dog house の順番を入れ替えて、
He made a smart doghouse Pochi.
っていえると思う?

分からないっす。いってもいいような……でも変なような……。
答えは「そうはいえない」んだ。
「…(人)に~(もの)を」の順番を入れ替えて、「~(もの)を…(人)に」という順にすると、「…(人)に」のほうの名詞には to とか for といった前置詞が必要になるんだな。
ちなみに buy とか make は for を使うけれど、他のほとんどの動詞では to を使う。
だから、この場合は、
He made a smart doghouse for Pochi.
(ポチのためにカッコいい犬小屋を作った)
……ってなる。
同じように、
He told her the truth.
(彼女に本当のことを教えた)
⇒ He told the truth to her.
He passed her the solt.
(彼女に塩を渡した)
⇒ He passed the solt to her.
He sent her a letter.
(彼女に手紙を一通送った)
⇒ He sent a letter to her.
He bought her a bike.
(彼女に自転車を買ってあげた)
⇒ He bought a bike for her.
……と言い換えることができる。
これはまあ、そう言ったほうが語調がよくなるってことからだろうね。
「~に…を○○する」の「~に」の部分は、me とか him とか us とか、人称代名詞の目的格がくることが多いから、それを後ろにもってくると、なんか尻切れトンボみたいになって気持ちが悪いんだろうね。それで to her とか to me 、for him っていうように、前置詞をつけてしっかり対象の人を分かりやすくしたんじゃないかな。
言い換えると、SVOO の最初の O には、あまり長い語をもってくることはない。バランスが悪くなるんだね。
極端な例としては、
He gave the hungry and weak dog the food.
とは、まずいわない。文法的に間違いとはいえないだろうけど、そういう文を書くと「下手な文」「不自然な文」って思われるだろうね。
これは、
He gave the food to the hungry and weak dog.
のほうがいいし、さらにいえば、
He gave the food to the poor dog. It looked so hungry and weak.
みたいに、2つの文に分けていうほうがスマートだろうね。
だから、さっきの、
He made Pochi a smart doghouse.
という文も、
He made a smart doghouse for Pochi.
のほうがしっくりくるね。文の主題は「犬小屋」のほうだから、それを先に出したほうが聞いている側にはスッと話の内容が伝わる。
そもそも SVOO の文ってのは、give me ~ とか take me ~ という言い方が楽だからできた構文なんじゃないかと俺は思ってるんだ。
大昔は、
Give some food to me.
(何か食い物をくれ)
っていう言い方だったものが、Give me で始めたほうがずっと言いやすいから、
Give me some food.
みたいに言うようになって、それが完全に定着してしまったんじゃないかと。
会話では give me は「ギミ」みたいに聞こえる。言いやすいのよね。
ギブ・チョコレート・トゥ・ミー. っていうより、
ギブ・ミー・チョコレート.
のほうがずっと言いやすいもんな。
……あ、凡太はギブミーチョコレートって知らないか。太平洋戦争に負けた日本に進駐軍が入ってきて占領政策を始めたとき、子供たちがアメリカの兵隊さんたちに群がって「ギブミーチョコレート」っておねだりしたんだよ。
そうすると兵隊さんがハーシーっていうメーカーの板チョコをポイってくれるわけ。子供たちはワーワー喜んで取り合って、この世にこんなうまいものがあったのかって……あ、知らないよな。俺だって実際に見たわけじゃない。まだ生まれてないからね。まあ、知らなくてもいいのよ、別に。でも、またそんなことにならないようにしないといけない、と学ぶのが歴史のお勉強なんだな……。
……って、また話が脱線してるな、俺は。「話が脱線する」もジジイ言葉か……。
Anyway……とにかく、SVOO の最初の O には me とか him みたいな短い人称代名詞目的格がくることが多いってことと、その順番を入れ替えて文の後ろにもってきたら、 to me や for him みたいに前置詞をつける、ってことだけはしっかり覚えてね。
あとはまあ、慣れるしかないな。
例文にいっぱい触れて、英語ではこういう言い方、言い回しをするんだな~、って、吸収していけばいい。その際に、ああ、これは長い文だけど普通に SVO の文型だなあとか、お! 出たな SVOC とか、意識しながら覚えるとどんどん力がつくよ。
というわけで、今日は話が脱線しかけたので、このへんにしておくかな。
あとは練習英作文でしっかり覚えようね。

……はい……
今日のポイント
- SVOO は「…(多くは人)に~を○○する」という意味で、目的語を2つ続ける文型。
- SVOO を作る動詞はそれほど多くはないので、文例を覚えてしまうのが早道。
- SVOO の「(人)に(もの)を」の順序を逆にするときは、「(人)に」のほうには to や for という前置詞がつく。