23 be動詞以外のSVCの文


You look fine.
S  V  C


郷センセ  be動詞以外で補語をとる動詞の文をいくつか並べてみるから、「補語」の働きということを考えながら覚えていこう。
かなり難しいのもあるけど、できないのを前提に出題しているよ。お手上げでも、正解例を見て、文の構造とか動詞の使い方とかを意識しながら「へえ~、こんな風にいえるんだ」と理解することが大切だ。
しつこいようだけど、ちゃんとノートに書いてみろよ。

1. チエコのお母さんって50を過ぎているっていうけど、ほんとかね。20代にしか見えないよ。(「20代だ」=in one's twenties。「ほんとかね」⇒可能性を表す助動詞 can を使ってみよう)

2. あそこの家を見ろ。空き家っぽいな。犯人が隠れているかもしれないぞ。

3. (医者が患者に対して)今日の気分はいかがですか?

4. (3に答えて)ありがとうございますドクター。今日はずっとよくなりました。

5. その池は2メートルほどの深さがあった。(「深い」はdeep)

6. そのとき、俺の靴紐がほどけてしまった。

7. 水蒸気は目に見えないまま上空に昇る。(「水蒸気」:vapor。「昇る」:rise)

8. 彼女はついに気が狂ってしまった。



答え

1. チエコのお母さんって50を過ぎているっていうけど、ほんとかね。20代にしか見えないよ。(「20代だ」=in one's twenties。「ほんとかね」⇒可能性を表す助動詞 can を使ってみよう)
Chieko's mother is over fifty (years old), I hear. Can it be true? She looks in her twenties.
「彼女は50歳だ」は She is 50. で、普通にbe動詞を使った SVC の文。「超えている」は over でいい。
I hear は「……と私は聞いている」という伝聞を表す表現。文頭にもってきてもいい。
その次の「ほんとかね」は「可能性」を表す can をつかった疑問文でいえる。It can be true. なら「それは真実でありえる」という意味だから、can を主語 it の前に出せば疑問文「ほんとかね?」となる。
be in one's twenties は「20代である」という表現。one's の部分は my your his などの語が入る。twenties は twenty(20)の複数形。
in her early twenties なら「20代前半」=22、23歳くらいという意味。
これが「10代」なら teenager という単語があるから、「10代に見える」なら、
She looks like a teenager.
などともいえる。look like は「~に見える」「~に似ている」という表現。


2. あそこの家を見ろ。空き家っぽいな。犯人が隠れているかもしれないぞ。
Look at the house over there. It seems (to be) empty. The criminal may be hidden there.
「空き家っぽい」は「その家は空っぽ(empty)のようだ」と考えてみる。
「~のようだ」「~にみえる」は seem +補語 でもいえる。こういうときには look (like) は使わない。seem の代わりに appear という動詞を使ってもいい。
seem to +動詞の原形 という表現はよく使うが、形容詞をいきなり置いてもいい。
「空っぽの」は empty でいい。
「隠れている」は hidden という形容詞でいえる。
a hidden camera は「隠しカメラ」、hidden Christians は「隠れキリシタン」、hidden charms は「隠れた魅力」。
hidden は、動詞 hide(隠れる、隠す)の過去分詞でもある。
hide - hid - hidden ……と不規則変化する動詞。
このように動詞の過去分詞は形容詞として働くことを覚えておこう。
「~かもしれない」は助動詞の can か may でいえる。助動詞を使ったのでその後は動詞の原形。


3. 今日の気分はいかがですか?
How do you feel today?
医者が患者にきいているのだから、How are you? ではちょっとマヌケな感じがする。まあ、軽い気持ちであえてそんな風にきくこともあるだろうけれど。
feel は一般動詞なので、疑問文にする場合は助動詞 do のお世話になる。

How are you?
How do you feel?

ものすごく単純な文だけれど、be動詞と一般動詞の違いを再確認しておこう。


4. (3に答えて)ありがとうございますドクター。今日はずっとよくなりました。
Thank you, doc. I feel much better today.
doc はもちろん doctor の略称。親しみを込めた呼び方。
「気分がいい」は
I feel good(fine).
その good の比較級として better を使い、それをさらに強調する副詞 much をつけた形。
good や dine は very で強調して、
I'm very fine.
のようにいえばいいが、比較級を強調するときは普通は very ではなく、much を使う。


5. その池は2メートルほどの深さがあった。(「深い」はdeep)
The pond was about two meters deep.
この「単位+形容詞」という表現はすでにやったはず。

How tall is Hanako?
(ハナコの身長はどのくらい?)
She is one hundred eighty-five centimeters tall.
(185 cm ある)

⇒ここでやったね。
この
She is one hundred eighty-five centimeters tall.
という文も、SVCだったんだね。
be動詞以外でもこの表現はある。例えば、
The snow lay five meters deep last winter.
(この前の冬は雪が5m積もった。)

この lay は lie (横たわる)という自動詞の過去形。
lie - lay - lain と、不規則変化する。
five meters deep が 動詞 lie の補語になっている例だね。


6. そのとき、俺の靴紐がほどけてしまった。
Then, the string of my shoe came untied.
これはムズいなあ。できなくていいよ。
untied っていう語は、まあ出てこないわなあ。いいのよ、ここは話だけきいておけば。
「結ぶ」という動詞は tie だ。ネクタイ(necktie)の「タイ」だね。首(neck)に結ぶ(tie)からネクタイ。ただの tie でも名詞でネクタイの意味になる。
tie(結ぶ)は、tie - tied - tied って、規則変化する動詞。e で終わっているから d だけつければ過去形、過去分詞になる。
で、過去分詞 tied は「結んだ」「結ばれた」という形容詞の働きをする。さっきやった hide(隠れる)という動詞の過去分詞 hidden が「隠れた」という意味の形容詞の働きをするのと同じだ。
で un っていうのを頭につけると反対の意味になる、っていう例はいっぱい知っているだろ?
ラッキー(lucky)の反対はアンラッキー(unlucky)、ハッピー(happy)の反対はアンハッピー(unhappy)。
これは動詞につくこともある。
cover は「カバーする、被う」という意味の動詞だけど、uncover で「被ったものを取る=蓋を外す、明らかにする」になる。
で tie の反意語は un を頭につけて untie(ほどく)っていう動詞がある。
この untie の過去分詞 untied が補語になっているのが、
The string of my shoe came untied.
だ。
come とか go っていうのは、「(ある状態に)なる」という意味も表す。
ここでは come untied で untied の状態になる=「ほどけてしまう」っていうことだな。
それを過去の文にして came untied だ。
ちなみに、両足の靴紐がいっぺんにほどけたわけじゃないだろうから、この文では珍しく「靴」は shoes ではなく、 shoe という単数形になっているね。


7. 水蒸気は目に見えないまま上空に昇る。
The vapor rises unseen up in the sky.
これもムズいねえ。
vapor(水蒸気)のような一般的な物体には the をつける。「昇る」は rise という自動詞でいえる。事実というか、そういうものだ、といっているので、現在の文。
で、ポイントは rise の後の unseen(見えないまま) だね。これが補語になってる。
「見える」という動詞は see で、これは不規則変化動詞。
see - saw - seen ……と変化したね。
この過去分詞の seen に、さっきと同じように打ち消しの un がついて、unseen で「見えないまま」「見えない状態で」「見えずに」という意味を表すんだねえ。
come untied は「ほどけちゃった」
rise unseen は「見えないまま昇る」
……この感じ、分かるかなあ。
look young(若く見える) と同じ文の形なんだよ。
……伝われ~……。


8. 彼女はついに気が狂ってしまった。
She went mad finally.
go や come は後ろに補語がついて「~になる」という意味を表すといったけど、これがまさにそうだね。
mad は「頭がおかしい」という形容詞。「マッドサイエンティスト」(狂気の科学者)なんていうだろ。
go mad で「頭がおかしくなる、気が狂う」という意味になる。
come を使う例としては、

My dream came true.
(私の夢はかなった。)

なんてのがあるね。true は「現実の」「本当の」という意味の形容詞。その状態に「なる」わけだ。
come true(現実になる=実現する) なんていうのはよく使うから、熟語として丸ごと覚えておくこと。

ついに」は at last なんていう連語もよく使うよ。


……とまあ、今回はムズいやつがいっぱい出てきたけど、「補語」という概念が日本人にはそもそも難しいんだよね。だから、「こういう表現があるんだな」「へえ~、こんな風にいうのか」……という例にいくつも接して、面白がりながら「慣れる」ことが必要だな。
例によって、知らない単語が出てくる都度、 weblio などの辞書サイトで使い方や発音を調べる癖をつけよう。
自分のアカウントを作れば、単語や例文をメモしておくこともできる。
受け身じゃダメだよ。自分から興味をもってどんどんやっていかないとね。
気合いだ気合いだ気合いだ。
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