郷センセ:
今日も生徒は凡太か。
まずは復習からだ。
前回は「be動詞+~ing で進行形」というのをやったね。
「ハナコはポチと散歩中だ」
を英語でなんというかな。

Hanako is walking with Pochi.
……です。
そだね~。take a walk なんて言い方をすれば、
Hanako is taking a walk with Pochi.
なんていえるね。
「be動詞+~ing」という形が「~しているところ」という「進行形」の文だったね。
じゃあ、もう一つ基本的なやつを。
「ハナコはポチを愛している」っていうのを進行形でいうと?

Hanako
is loving Pochi.
ですか?
そうは言わないんだよね、普通は。
なぜかっていうと、love (愛している)っていうのは、今進行中の動作ではないよね。昨日も愛していたし明日も愛しているはずだよね。つまり日常的なこと、普遍的なこと、状態をいっているから、そういうのは進行形にはしないんだ。日本語で「~している」っていう場合でも、釣られて進行形にしないようにね。そういうのは現在の文でいうから……。

Hanako
loves Pochi.
ですね。
そういうこと。
で、ここからが今日のテーマだ。
「ハナコはポチを愛している」というのは、
「ハナコ」が文の主語、「愛している」が動詞、「ポチ」が「愛している」という動詞の目的語になっている文だ。
こういう風に目的語をとる動詞のことをなんていうんだっけ?

「他動詞」です。
そだね~。目的語を取る動詞を他動詞、目的語を取らない動詞、つまり動詞だけで意味を表せる動詞を自動詞っていうんだったね。
じゃあ、この
Hanako loves Pochi.
の目的語である Pochi を今度は文の主語にして、同じ内容のことをいうとどうなる?

Pochi loves Hanako.
……ですか?
違うだろ。それは、
「ポチはハナコを愛している」だよな。
ハナコはポチを愛しているけれど、ポチはハナコを愛していないかもしれない。違う内容になっているよな。
「ハナコはポチを愛している」と同じ内容を「ポチ」を主語にしたら、
「ポチはハナコから愛されている」
になるだろ?

あ、そうですね。「愛されている」ですね。
これを「受動態」っていう。「受け身の文」なんて言い方もするね。
受動態に対して、普通の文(~が~する)の動詞の形を「能動態」って呼んだりするもする。
「A(主語) は B(目的語) を~する」(能動態)の B を主語にして同じ内容を表そうとすると、
「B は A から~されている」という「受動態」の文になる。
この受動態はどうやって表すかというと、
be動詞+過去分詞
って形で表すんだ。
過去分詞……ようやく出てきたねえ。よかったねえ。

……なんか嬉しくないような気も……。
何言ってんの。不規則変化動詞を暗記したとき一緒に過去分詞も覚えただろ。せっかく覚えた過去分詞じゃないか。使えるのは喜びでしょ。
で、これって、こないだやった「進行形」と形が似ているよね。
be動詞+現在分詞 = 進行形
be動詞+過去分詞 = 受動態
……だな。
つまり、受動態も文の構造の上ではbe動詞の文なんだ。
疑問文や否定文、過去の文や未来の文の作り方はbe動詞の文のルールに従うってことだな。
- 疑問文:be動詞を主語の前に出す
- 否定文:be動詞の後に not を入れる
- 過去の文:be動詞を過去形(was または were)にする
- 未来の文:will という助動詞を使って 「will be+過去分詞」の形
で、元の文の主語だった語(名詞)は、受動態では「~によって」という意味になるけど、それは by ~ という形で後ろにつける。
Everyone knows Google.
(誰もがグーグルを知っている)
↓
Google is known by everyone.
(グーグルは誰からも知られている)
↓
Google was known by everyone in 2010.
(2010年にはグーグルは誰からも知られていた)
↓
Google will be known by everyone in a year.
(1年もすればグーグルはすべての人から知られているだろう)
簡単だね。
Hanako loves Pochi.
↓
Pochi is loved by Hanako.
……だ。
by の後に「彼」「彼女」などの
人称代名詞がくる場合は、by
him、by
her というように
目的格になることに注意しよう。
人称代名詞のことは改めて説明しなくてももう知っているとは思うけれど、一応確認しておこうか。
「人称代名詞」っていうのは、「私」「あなた」「彼」「彼女」「彼ら」……みたいに、人をさす言葉のことだな。
これらは主語になるとき、所有を表すとき(~の)、目的語になるとき、「~のもの」という「所有物」をさすときの4通りの形があって、それぞれ、
主格、所有格、目的格、所有代名詞
なんていうんだな。
おさらいしておくと、
主格
(主語になる形 ~が) - 所有格
(~の) -
目的格(~を) - 所有代名詞
(~のもの)
I - my - me - mine
you - your - you - yours
he - his - him - his
she - her - her - hers
we - our - us - ours
they - their - them - theirs
it - its - it - ─
……だね。
「~によって」の by~ の後は「目的格」になるので、
by him とか by her ってなるよ。
by ~ は、言わなくても分かりきっているときは言わなくてもいい。
by ~ じゃない語句で説明されることもよくある。例えば、
MP3
is widely
used as a common audio file format.
(MP3は標準的な音声ファイル形式として広く使われている。)
……なんて風にね。
↑この文では widely(広く) という副詞がbe動詞と過去分詞の間に割って入っている形だね。短い副詞の場合はこういう形になることがよくあるから、be動詞と過去分詞が離れてしまっていても受動態であるってことをしっかり見抜けるようにしておこうな。
is used widely って語順でも間違いじゃないから大丈夫。
あと as っていうのは「~として」っていう意味。ここでは後ろに名詞が来ているから前置詞だな。
as you know (ご存じのように) なんて使う場合は接続詞ってことになる。すごくよく使う語だから、いろいろなフレーズごと覚えること。

なんか難しそうっす……。
んなこたあないよ~。受動態そのものはチョー簡単だろ。「be動詞+過去分詞」っていう形で、be動詞の文ってことなんだから。進行形と同じように簡単な話じゃん。
じゃあ、今日はこれだけ。
あとは英作文でいっぱい練習して、慣れることだね。

はい。
今日のポイント:
- 「be動詞+過去分詞」で「受動態」になる。
- 受動態の文は「be動詞の文」なので、疑問文、否定文、時制などのルールはすべてbe動詞の文と同じ。