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10. 「補語」って何?


郷センセ郷センセ:  今日も生徒は凡太か。まずは前回のおさらいからだ。

「あの犬がポチだ」を英語で言うと?
凡太 「あの犬」……?

this は「これ」、that は「あれ」っていう名詞だけど、そのまま「この~」「あの~」っていう風に、名詞の前につけると形容詞としても使える。
だから、「あの犬」は that dog でいいよ。
一度話題に上っていて、話している自分にも相手にもどの犬か分かっているときは、the dog でいい。
ここでは「今あそこに見えている犬」っていうことだから、 that dog でいいね。
だから……?
凡太 That dog is Pochi.

そだね~。
疑問文にして「あの犬がポチかい?」は?
凡太 Is that dog Pochi?

そだね~。isはbe動詞だから、助動詞doは使わず、be動詞をそのまま主語の前に出せば疑問文だったね。
ついでに「あの犬はポチじゃない」は?
凡太 That dog is not Pochi.

そだね~。be動詞の文は、be動詞の後ろにnotをつければ否定文になるんだったね。is notの短縮形はisn't。
That dog isn't Pochi.
でもいいね。

じゃあ、「ポチはでかい犬だ」はなんていう?
凡太 「でかい犬」……big dogだから……
Pochi is big dog.

惜しい。a big dog だな。aが必要だ。
英語はこういうところがめんどくさくてね。数えられる名詞は一般的に単数なら a をつけなくちゃいけない。
特定のもの、分かっているもの、いつものあれ、一度話題に出たもの、みたいなときは
the をつけるんだけど、a と the の使い分けは、別の機会にじっくりやるかな。
今日は先に進むよ。
「ポチはでかい犬だ」は、

Pochi is a big dog.

だけど、「あの犬はでかい」はなんていう?
凡太 That dog is a big dog.
ですか?

それは英文としては正しいんだけど、dogが繰り返しになっててくどいだろ。
That dog is big.
でいいね。
さてと、
Pochi is a big dog.

That dog is big.
の違いって分かるか?
同じisを使ったbe動詞の文だけど、be動詞の後ろが違うだろ。
Pochi is a big dog.
分かりやすくするために、bigっていう形容詞を取ってしまえば、
Pochi is a dog.
だ。
この文ではbe動詞の後に「a dog(犬)」っていう「もの」というか……動物だけど……、要するに「名詞」がきているよな。
動詞の後ろに名詞がくるっていうのは、
Hanako likes big dogs.
「ハナコはでかい犬が好きだ」
みたいな文に似ているね。あのときの名詞のことをなんていったっけ?
凡太目的語」です。

おお、よく覚えてたな。「目的語」っていうんだよな。その名詞がないと、前の動詞は意味をなさなくなってしまう。
Hanako walks. は、「ハナコは歩く」で、walkという動詞だけで意味をなしているけど、
Hanako likes. だけじゃ、なんのことだか分からない。
何を好きなのか」っていう、対象となるものをつけないと動詞が意味を持たない。そういう動詞の使い方をするときの、後ろにつく名詞が「目的語」だったな。
だから、be動詞の後に来る名詞も「目的語」って言いたいところなんだけど、違うんだな。be動詞の後ろにくる名詞は「補語」っていうんだ。補う語で「補語」。
目的語と何が違うかっていうと、
目的語は主語とは違うもの──つまり、目的語は主語とイコールで結べないけれど、補語は主語とイコールで結べる関係にあるんだな。
Hanako likes dogs. では、ハナコは犬じゃないよな。
Hanako dogs だ。
でも、
Pochi is a dog.
のほうは、ポチは犬なわけだ。
Pochi dog
この違い分かるかな?
凡太 ハナコが犬じゃない、ってのは分かりますけど……う~ん……。

じゃあ、今はあまり考え込まなくてもいいや。これからいろいろな文に触れていくうちに、ああ、そういうことか、って分かると思うから。
先に進むよ。

「ポチはでかい犬だ」は、
Pochi is a big dog.
だけど、単に「ポチはでかい」っていうのは?
凡太 Pochi is big.
ですか?

そだね~。
この Pochi is big. と Pochi is a big dog. の文の違いって分かるか?
凡太 「dog」があるかないか、ですか?

まあ、そういうことかもしれないけど、be動詞の後ろにあるものが違うんだよ。
Pochi is a big dog. の big は、dogっていう名詞を修飾しているだけの形容詞だな。このbigは取ってしまっても  Pochi is a dog. で、文の基本構造はそのままで文として成り立つよな。だから、 be動詞の後ろに名詞がきている文、っていえるよな。
でも、 Pochi is big. のbe動詞の後ろには名詞がないだろ。 big っていう形容詞だけだ。これを取ってしまうと文にならない。
つまり、be動詞は、後ろに名詞だけじゃなくて、形容詞も単独でとれるってことなんだ。
この Pochi is big. という文も、Pochi big っていう「イコール」の関係だよな。この形容詞も「補語」っていう。
目的語は名詞しかなれなかったけど、補語は、名詞だけじゃなくて、形容詞の場合もある。そこが違うんだな。

で、ここで改めてbe動詞の意味ってのを考えてみると、be動詞は「A B」っていう関係。イコールだっていう関係を表す動詞だ、っていうこともいえる。
そのことを「isは『~である』『~です』という意味の動詞」なんていう風に教えていることが多いわけだけど、beという動詞のそもそもの意味は「イコールの関係を表す」ってことなんだ。言い換えれば、主語のことを説明する言葉が「補語」なんだな。
それに対して、「目的語」ってのは、主語を説明するんじゃなくて、動詞が及ぼす対象を表していたよな。対象物だから名詞じゃないとおかしい。
一方、補語は動詞が及ぼす対象じゃなくて、主語を説明している。だから名詞だけじゃなくて形容詞ってこともある。
……分かるかな?
凡太 なんとなく、さっきよりは分かってきたような……。

よかったよかった。
で、be動詞の補語が名詞だろうが形容詞だろうが、be動詞の文はbe動詞を主語の前にもってくれば疑問文、be動詞の後にnotを入れれば否定文になる。
だから、Pochi is big.を疑問文にして「ポチはでかいのかい?」なら?
凡太 Is Pochi big?

「ポチはでかくない。小さい犬だよ」なら……?
凡太 Pochi is not big. Pochi is a little dog.

そだね~。そういうことだよな。
じゃあ、同じことで、
「それって本当なの?」
ってどういう?
凡太 「本当」は……リアルですか?

そだな~。いいんだけど、realは「現実の」って感じかな。空想とかじゃなくて、実際に起きている、っていう感じの「本当」だね。
「リアル ライフ」(a real life)なら「実際の生活」……作り話や仮定の話じゃなくて、実際に存在している生活、っていう感じ。
「自分ではスーパーで野菜を買ったこともないような政治家は、俺たちの実生活を分かってない!」 ……なんていうときは our real life でいいかな。そういう感じの言葉。
あと、最近よくいうVR「バーチャルリアリティ(virtual reality)」は「仮想現実」って訳すね。あのrealityっていうのはrealの名詞形だね。virtual は、「仮想の」っていう形容詞。
普通に「本当か嘘か」みたいな感じでいう「本当の」は、true のほうがいいかな。
○×クイズなんかで「本当か嘘か」みたいなのは true or false っていうね。 だから……?
凡太 Is it true?

そだね~。
これもbe動詞の後ろに形容詞がきている例だね。isというbe動詞を主語のitの前に出せば疑問文。
「本当じゃない」ならisの後にnotを入れればいいから……、
凡太 It is not true.

そういうことだね。

ってことだ。
短縮形を使えば、It isn't true.だけど、「全然デタラメだ! まったく違う! フェイクニュースだ!」みたいに強調したいときは、短縮形を敢えて使わずに、notを強くいえばいい。
言ってみて。
凡太 It is not true.

そだね~。そういうことだね~。
じゃあ、今日はここまでにしておこうか。簡単だったね。
凡太 はい。


今日のポイント:


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