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5. 「三単現」って何?

Hanako stays home every day.

郷センセ郷センセ:  今日も生徒は凡太か。まずは前回のおさらいからだ。
「オイラは毎日ポチと散歩してるよ」
を英語にすると?
凡太 「ポチと?」
そんなのやりましたっけ?

「~と一緒に」っていうのは「with ~」っていう。だから「ポチと一緒に」は、
with Pochi だ。
あとは分かるよな。
凡太 「毎日散歩する」は walk every day だから、
I walk every day with Pochi.
……ですか?

うん、まあ、そういうことだけど、every day を後ろにしたほうがいいかな。
凡太 I walk with Pochi every day.

そだね~。ポチは毎日散歩できてごきげんだね~。
じゃあ、その主語のI(俺は)をハナコに変えてみよう。
ハナコは毎日ポチと散歩してる」はどういえばいい?
あ、ちなみにこのハナコはお笑い芸人の3人組じゃなくて、一人の女性の名前な。
凡太 Hanako walk with Pochi every day.

おお、期待通りの答えだね。
そうなりそうなもんだけど、そうはならないのが英語のいやらしいところなのよ。
正解は、
Hanako walks with Pochi every day.
ってなるんだ。
動詞のwalkにsをつけてwalksってするんだよ。

sがつく、っていえば、名詞にも単数形と複数形があって、複数を表すときはsをつけるっていうのは習っただろ? あれと同じ要領だな。
「靴」は英語でシューズ(shoes)っていうのは、もう日本語化しているから誰でも知っているけど、単数なら「シュー(shoe)」なんだ。靴ってのは普通は左右の足の分、2個で1組だから複数形が当たり前になっている例だな。
腹立つだろ、英語って。
凡太 ……はい。めんどくさいっす。

そう。めんどうくさい。メン、ドウ、コテくさい。
でも、そう決まっているんだからしゃあない。
じゃあ、どういうときに動詞にsがつくのか、ってのが今日のポイントだな。
英語の文章は必ず主語があるってことは言ったよね。
「~しろ!」って命令する文には主語のyouが省かれて、
Run fast.(速く走れ)
Walk with Pochi every day.(毎日ポチと散歩しなさい)
みたいに言うけれど、それ以外では基本的にどんな文章にも主語がある。会話では省略することもよくあるけどね。
で、日本語だと、主語がなんであっても動詞は同じ形だよな。
俺は走る。
おまえは散歩する。
あいつは散歩する。
やつらは散歩する。
……みんな「散歩する」でいい。
でも、英語は「三単現(さんたんげん)」という条件が揃ったときだけ、動詞が変わるんだ。
「俺は走る」は I walk. だけど、「あいつは走る」は He walks. って、動詞にsがつく。
なぜか? 「三単現」だからなんだな。
凡太 「さんたんげん」??

そう。「人称・数・在」の略だ。
まずはこの最初の「三人称」から説明するぞ。

「人称」っていうのは、言葉を話したり書いたりしている本人との関係性を表す言い方だ。
俺、私、おいら……自分を指す言葉が一人称
おまえ、きみ、あんた……話している相手を指す言葉が二人称
それ以外のものがすべて「三人称」だ。
だから、ハナコもポチも馬もUFOもコロナウイルスも……
凡太 三人称……ですね。

そだね~。
彼も彼女もあの子もこの子も、「雨が降る」で使った主語のitもみんな三人称だ。簡単だな。

次の「単数」も分かるよな。
一人称でも「俺」(I)は一人……単数だけど、「俺たち」(we)ってなると複数だ。
二人称のyouは、一人でも複数でも同じyouでよかったんだったな。
三人称でも「あいつ」(heやshe)は単数だけど、「あいつら」(they)ってなると複数だ。
だから、he が主語なら、
He walks.
だけど、主語が複数になってthey だと、
They walk.
で、sはつかない。

複数を表す主語は三人称であっても「三単現」の「単」にあてはまらないから動詞の形は変わらない。
だから、ハナコもポチも三人称単数だけど、「ハナコとポチは毎日散歩する」は、
Hanako and Pochi walk every day.
ってなって、動詞のwalkにsはつかないんだ。
ハナコとポチが一緒になって主語だから、1+1=2で、この主語は単数じゃなくて複数だろ?
凡太 ……ややこしいんですね……。

そうなのよ。罠みたいだろ。俺たち日本人をひっかけようとしてくるからなあ、英語はいやらしい。

で、最後の「現在」は、現在・過去・未来~♪の現在。
今のこと、というよりも、事実……つまり、日常的なこと自明の理とか、人の習慣とか性質とか、そういうのを言っている場合のほうが多いかな。
「ポチはよく寝る」とか「地球は丸い」とか「冬は寒い」というようなのも「現在の文」だ。
過去も未来も、ポチはよく寝るし、地球は丸いんだけど、こういう時間にあまり関係のない「事実」をいうときは現在の文なんだな。
この「現在・過去・未来」みたいな時間の区分を、「時制」っていう。
人称・数・在」──この3つが揃うときだけ動詞の形が変わるんだ。
これが「三単現」。分かったかな?
凡太 う~ん、うっかり忘れそうです。動詞にsをつけるの……。

最初は仕方ないよ。日本語にはまったくない発想というか、ルールだからな。こんなルール、やめてくれればいいんだけど、そうもいかないんだろな。
英語を日常的に喋っている連中でも、三単現のsを抜いて平気で喋るのがいるけど、そういうのは教養がないやつら、って思われるから、真似はしないほうがいいだろな。それに、学校の試験では×にされちゃうからな。
まあ、100年後くらいには三単現のsなんてなくなっているかもしれないけれどね。
とにかく慣れるしかない。いっぱい文章を作って、読んで、身体に染みこませるしかないな。
そういうのは俺がいちいち面倒みる必要はないから、自分でやれや。

じゃあ、1個だけ練習。
「俺は毎日家にいる」は?
凡太 I stay home every day.

そだね~。じゃあ「ハナコは毎日家にいる」は?
凡太 Hanako stays home every day.



そういうことだな。コロナ、やだね~。

じゃあ、今日はここまでにしておこうか。
凡太 はい。


今日のポイント:
動詞は「三単現」の条件が揃ったとき、sをつける。
「三単現」とは、三人称・単数・現在のこと。
主語が三人称単数で、時制が現在の文のときだけ動詞にsがつく。


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